2026.02.11
ゴム製品のサプライチェーンはなぜ止まる?サプライチェーンが静かに壊れる瞬間
「今まで普通に調達できていたのに、急に作れなくなった」
ゴム製品、ゴム部品のサプライチェーンに関する相談で、ここ数年、本当に増えている声です。
しかも厄介なのは、事前に大きな兆候がないまま起きること。
納期遅延が続いていたわけでもない。
品質問題が頻発していたわけでもない。
むしろ「問題なく回っていた」ように見えていた。
それでもある日、突然こう告げられます。
「このゴム製品、もう対応できません」
本コラムでは、なぜゴム部品は1社依存になりやすく、なぜ“止まってから”では手遅れになりやすいのか
そして、今から何ができるのかを、サプライチェーンの視点で整理します。
目次
なぜゴム製品、ゴム部品の調達は「1社依存」になりやすいのか
ゴム製品、ゴム部品の調達が1社依存になるのは、誰かの判断ミスではありません。
多くの場合、次のような自然な流れで起きます。
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初期開発時に成形メーカーを選定
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試作・評価が問題なく完了
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量産立ち上げも順調
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そのまま何年も同じ会社から調達
ここまでは、むしろ理想的です。
問題は、その後です。量産が安定すると、
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図面の更新が止まる
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条件の見直しをしなくなる
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金型や配合の中身を確認しなくなる
という状態に入りがちです。
気づけば、
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図面はあるが、実際の条件とズレている
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金型はあるが、現物を把握している人がいない
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材料配合や条件がブラックボックス化
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トラブル対応は「あの会社なら分かる」で済ませている
こうして、無意識の1社依存が完成します。「変えていない」うちに、変えられなくなるのです。
図面があっても「同じもの」は作れない
よくある誤解があります。
図面があれば、どこでも作れる
金型があれば、生産移管できる
ゴム製品、ゴム部品の調達では、この前提が崩れるケースが非常に多いです。
なぜなら、ゴム製品、ゴム部品は、
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材料配合
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成形条件
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金型構造
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現場ノウハウ
これらが重なり合って成立しているからです。
図面に書かれているのは、あくまで「最終形状」の一部。
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どこが本当はシビアなのか
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どこを現場で微調整しているのか
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どこが“人”で成立しているのか
こうした情報が共有されないまま年月が経つと、図面だけが残り、作り方が残らない状態になります。
生産移管が失敗するゴム製品、ゴム部品の共通点~図面・金型があっても詰む理由~
「じゃあ、別のゴム成形メーカーに移管すればいいですよね?」
理屈としては正しい。しかし、ゴム製品、ゴム部品の生産移管は、想像以上に失敗します。
その多くには、共通点があります。
共通点①: 図面が“最終形状”しか語っていない
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寸法はある
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公差もある
でも、
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なぜその寸法なのか
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どこが重要なのか
が分からない。
元の成形メーカーは暗黙知で成立させていた可能性があります。
その情報がないまま移管すると、
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見た目は同じでも性能が出ない
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寿命が大きく変わる
といった問題が起きます。
共通点② :金型が“その会社仕様”になっている
「金型はあります」
これは安心材料ではありません。
実際には、
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特定設備前提
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熟練作業者前提
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メンテナンス前提
で成立している金型も多く、別成形メーカーでは使えないケースもあります。
共通点③ :材料・条件がブラックボックス化している
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材料名は分かる
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配合は分からない
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条件は「だいたいこの辺」
この状態では、
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書類上は再現できる
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実際には再現できない
という最も厄介な状況になります。
共通点④ そもそも移管を想定して設計されていない
多くのゴム部品は、最初から移管される前提で設計されていません。
当時は最適解だった形状や条件が、長期的にはリスクになることがあります。
設備の老朽化やコスト改善、サプライヤーの変更など、ゴム製品の生産移管が必要になる場面は年々増えています。特に最近増えているのが、突然のサプライヤー廃業や納期遅延、品質問題など、想定外の事態に対応しないといけないケースです。
ゴム成形は材料配合、金型構造、工程条件、検査方法など、長年の経験や積み重ね
その生産移管、本当に大丈夫?ゴム製品の生産移管・金型移管に潜む落とし穴と解決策を解説
移管が失敗すると、現場で何が起きるか
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代替先を探して時間だけが過ぎる
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試作を繰り返し、コストが膨らむ
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結局、前の仕入先に戻る
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それでも、もう作れない
そして最後に残るのは、「なぜ、もっと早く手を打たなかったのか」という後悔です。
今すぐできる、ゴム製品、ゴム部品の調達リスクの見える化~止まる前にやるべき「3つ」のこと~
すべてを一気に変える必要はありません。
まずは、次の3つだけで十分です。
① 「止まったら困る部品」を洗い出す
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生産が止まる
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顧客に影響が出る
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代替がきかない
こうした部品を先に特定します。
② 「今の仕入先でしか作れない理由」を言語化する
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本当に技術的に無理なのか
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単に検証していないだけなのか
を切り分けます。
③ 「移管できるかどうか」を早めに確認する
図面・金型・条件をもとに、
第三者に一度見てもらうだけで状況は整理できます。
目的は、「いざというとき、選択肢があるかどうか」を知ることです。トラブルが起きてからでは、
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時間がない
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判断を誤りやすい
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コストが跳ね上がる
という悪循環に入ります。
何も起きていない今こそが、最も動きやすいタイミングです。
ゴム製品は車や機械、建物、道路などに使用され、ゴム単体で使用されるというよりは、金属やボルト、プラスチックなどと組み合わせて「部品」として使用されることが多いです。例えば、車は約3万点の部品から構成され、その中の1つのゴム部品がないだけでも正常に走行できません。つまり、ものを作る際は、すべての部品が
サプライヤーの廃業・不安定化に備える!ゴム製品の安定調達を徹底解説
サプライチェーンは、切れない、より「戻れる」が大事
理想は「絶対に止まらない」ことではありません。現実的なのは、止まっても、戻れる状態を作っておくことです。
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代替先の目星がついている
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移管難易度を把握している
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どこを変えれば成立するか分かっている
これだけでも、リスクは大きく下がります。ゴム製品、ゴム部品の調達で不安を感じたら
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うちの部品、移管できるのかな
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もし止まったら、どれが一番困る?
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今の調達、危ないかもしれない
そんな段階での相談が、いちばん価値があります。
信栄ゴム工業では、ゴム製品、ゴム部品の生産移管可否の整理や調達リスクの洗い出しといった
サプライチェーン視点でのご相談もお受けしています。
「今すぐ移管したい」ではなく、「将来の選択肢を知りたい」
それだけで構いません。