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ゴムパッキンが漏れる本当の原因~材料劣化と設計ミス、そして「成形」まで含めて考える~

「ボルトは締め直しました。」

「パッキンも新品に交換しました。」

「前と同じ材質です。」
それでも、なぜか漏れる。
ゴムパッキンの漏れは、設備保全や設計の現場で非常によくあるトラブルです。

最初はにじむ程度だったものが、いつの間にか広がり、気づけばクレームや設備停止につながる。
多くの現場では、原因を特定しきれないまま、

  • とりあえず硬度を上げる

  • とりあえず耐油性の高い材料に変える

  • とりあえず締付トルクを上げる

といった対処が繰り返されます。

しかし、それで止まることもあれば、逆に悪化することもあります。なぜなら、ゴムパッキンの漏れは単純な材料不良でも、単純な設計ミスでもないからです。

本当に多いのは、
材料の弱点 × 設計の見落とし × 成形・サイズ要因」という「掛け算」による漏れです。

この記事では、ゴムパッキンが漏れる原因を

  • 材料劣化の視点

  • 設計の視点

  • サイズ・成形の視点

から整理し、最後に「なぜ試作から進めるべきか」までを解説します。

 【材料劣化】による漏れの落とし穴

落とし穴①

「耐油性=すべての油に強い」という誤解

「NBRだから油は大丈夫ですよね?」

これは非常によくある判断です。

しかし実際には、

  • 合成油

  • 添加剤入り作動油

  • 高温下で使用される油

では、膨潤量や劣化速度が大きく変わります。ゴムが膨潤すると、一時的にシールしているように見えますが、内部では弾性が落ち、圧縮応力を維持できなくなります。
結果として、初期は止まる→ 徐々にシール力低下→ 漏れ発生という流れになります。

「耐油性◎」は、多くの場合、標準的な鉱物油での評価に過ぎません。

落とし穴②

温度×圧縮応力による圧縮永久歪

ゴムパッキンは、常に圧縮された状態で使用されます。この状態で温度が上がると、

  • 分子運動が活発になる

  • 架橋構造の拘束力が弱まる

  • 内部応力が緩和されやすくなる

結果として、元に戻ろうとする力が徐々に失われます。これが「圧縮永久歪(ひずみ)」です。

特に、

  • 常温より高い温度環境

  • 常時圧縮状態

  • 長時間使用

この3条件が重なると、圧縮永久歪は急速に進行します。多くの汎用ゴムでは、60〜80℃を超えるあたりから

劣化スピードが一段階上がる傾向があります。「カタログ上は耐熱範囲内」でも漏れるのは、“耐えられる温度”と“長期間シール力を維持できる温度”が違うからです。

落とし穴③

経年劣化を設計寿命に織り込んでいない

初期性能は問題ない。1年も問題ない。しかし数年後、

  • 硬化

  • 追従性低下

  • 微小な隙間発生

が起きるケースは珍しくありません。

紫外線、オゾン、温度変化。これらを考慮せず、「今止まっている」ことだけで判断すると、時間差で漏れが発生します。

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 【設計ミス】による漏れの落とし穴

落とし穴④

パッキンそのものの形状が成立していない

ゴムパッキンは、「入る形」ではなく「圧縮された状態で安定する形」が必要です。

  • 断面が細すぎる

  • 肉厚差が大きい

  • 角が鋭い

  • つぶれ代が小さい

こうした形状は、初期は止まっても長期安定しません。圧縮率が同じでも、接触幅が狭い形状ではシール性が不安定になります。

落とし穴⑤

相手物の溝設計・逃げ代不足

パッキン単体ではなく、

  • 溝深さ

  • 溝幅

  • 逃げ代

  • はみ出し余裕

まで含めて設計しないと、漏れは防げません。

溝が浅すぎれば過圧縮、深すぎれば圧縮不足。逃げ場のない設計では、内部応力が高まり、材料劣化が加速します。

落とし穴⑥

ボルト締付位置による圧縮のばらつき

ボルト間隔が広い場合、

  • ボルト直下は強く圧縮

  • 中間部は圧縮不足

という圧縮ムラが発生します。その結果、

  • 強圧縮部:永久歪が進行

  • 弱圧縮部:初期から漏れ

という二重トラブルになります。

材料を変えても直らない漏れは、この圧縮ムラが原因であることが少なくありません。

サイズが大きくなるほど、難易度は一段上がる 

ここまでの話は一般的なサイズのパッキンを想定しています。

しかし、両手サイズ(300〜400mm)を超え、1mクラスになると難易度は一段上がります。

大型になるほど、

  • 圧縮ムラが拡大する

  • 成形収縮ばらつきが無視できなくなる

  • 材料ロット差が効いてくる

小径品では問題にならない「わずかな差」が、大型では明確な漏れになります。

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 大型パッキンほど「いきなり量産」は危険

大型パッキンで漏れが止まらない原因の多くは、

  • 材料

  • 設計

  • 成形条件

のズレが、量産後に初めて顕在化することです。いきなり量産金型を起こすと、

  • 金型修正

  • 材料変更

  • 再製作

という遠回りになりがちです。

試作で“現実とのズレ”を潰す~大型パッキンほど、試作段階で~ 

  • 実機での圧縮状態確認

  • 圧縮率のばらつき評価

  • 長時間圧縮テスト

  • 流体接触テスト

を行うことが重要です。

ここで設計と現実のズレを可視化することで、量産時の漏れリスクは大きく下がります。

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 成形を見据えた設計へ

試作で条件を整理したうえで、

  • 材料選定

  • 成形方法選定

  • 金型構想

に進むことで、「作れるだけでなく、安定して止まる」パッキンになります。

特に大型品では、成形安定性まで含めた設計が不可欠です。

 私たちが役立てること

ここまで見てきた通り、ゴムパッキンの漏れは

  • 材料

  • 設計

  • 成形

  • サイズ

のどれか一つではなく、使われ方全体の問題であることがほとんどです。

特に、両手サイズから1mを超える大型パッキンでは、図面や仕様書だけを見て判断すると、重要な前提条件が抜け落ちてしまうことがあります。

信栄ゴム工業では、これまでに

  • パッキンが組み込まれている機械の構造

  • 実際の締結方法やボルト配置

  • 運転中の温度・圧力・流体

  • メンテナンス頻度や交換手順

といった現場での使われ方そのものを確認するため、実際に機械や現場へ伺い、調査を行ったうえで開発を進めた事例があります。

そのうえで、

  • 構造と圧縮状態を踏まえた形状設計

  • 試作(切削加工など)による実機検証

  • 条件に合わせた材料選定

  • 量産として成り立つ金型構想と成形立ち上げ

までを一貫して行い、「なぜか止まらなかった漏れ」を解消してきました。

大型パッキンの場合、机上で考えた設計と、現場で起きている現象が一致しないということは珍しくありません。

だからこそ、

図面だけで判断しない

実際の機械と環境を見る

試作で確かめてから量産する

この順番が、結果的に最短ルートになります。

  • 図面はあるが、使われ方に不安がある

  • 現場条件をどこまで設計に落とし込めているか分からない

  • 金型を起こす前に、一度リスクを洗い出したい

そんな段階からでも問題ありません。

むしろ、そのフェーズこそ私たちが最もお役に立てるところです。

漏れが起きてから直すのではなく、起きない前提を一緒につくる。

信栄ゴム工業は、両手サイズから1m超のゴムパッキン・ゴム製品を中心に、構想・現場調査・試作・量産立ち上げまで伴走してきました。

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