2026.09.29
1mを超える大型ゴム製品は金型成形できる?大型プレスによる一体成形の事例
「1mを超える大型のゴム製品を作りたいけれど、対応できるメーカーが見つからない」
「製品サイズが大きいため、本来は一つの部品なのに複数に分けて調達している」
大型のゴム製品を調達する際には、対応できるゴム成形メーカーが限られるため、このような課題が生じることがあります。
信栄ゴム工業では、両手で持つ程度のサイズから1mを超える大型ゴム製品まで、金型構想、材料選定から量産まで一貫して対応しています。
今回は、これまで成形可能なサイズの制約から2つに分けて調達されていた1m超のゴム製品を、大型プレスによる一体成形で1部品化した事例をご紹介します。
目次
1mを超える大型ゴム製品でも金型成形できる
ゴム製品の金型成形というと、手のひらサイズ程度の製品をイメージされる方も多いかもしれませんが、設備や金型、製品形状などの条件が合えば、1mを超えるゴム製品でも金型による加硫成形が可能です。
信栄ゴム工業では大型プレス設備を保有しており、以下のサイズの金型を搭載できる設備があります。
| 対応可能な金型サイズ |
|---|
| 1500 × 1300mm |
| 900 × 1800mm |
| 1000 × 1000mm |
実際に成形できる製品寸法は、製品形状や金型構造などによって異なりますが、700~1300mm程度の大型ゴム製品にも対応しています。
また、正方形に近い製品や長尺品など、製品の縦横比や形状によって適した設備は異なります。複数の大型プレスを使い分けながら、製品に合った成形方法を検討します。
ただし、大型の金型がプレスに載れば、それだけで大型ゴム製品を量産できるわけではありません。
大型ゴム製品では、設備の大きさ以上に、安定して量産できる成形条件をつくり込むことが重要です。
大型ゴム製品で難しいのは「安定して量産すること」
大型ゴム製品は、試作で1個の良品ができれば終わりではありません。量産で同じ品質の製品を安定して作り続けられて、初めて製品として成立します。
大型になるほど、一度に使用するゴム材料の量が増える傾向があります。また、製品形状はさまざまで、一つの製品の中でも肉厚が一定とは限りません。
そのため、製品ごとに加硫時間や材料の仕込み方などの成形条件をつくり込むことが重要になります。
なかでも大型ゴム製品の量産で注意したいのが、「ガス傷」と「材欠」です。
大型ゴム製品で発生しやすい「ガス傷」
ゴムの加硫成形では、成形中にガスが発生します。
大型ゴム製品では一度に使用するゴム材料の量が多くなる傾向があり、さらに製品形状も複雑になりやすいため、発生したガスをうまく逃がせず、製品表面などに「ガス傷」が発生することがあります。
また、大型品は製品の面積そのものが広くなります。
面積が広くなれば、それだけ製品のどこかに成形上のエラーが発生する可能性も高くなります。
そのため、製品形状や使用する材料の特性を見ながら、発生するガスをどのように逃がすかを考え、成形条件を調整することが重要です。
広い面積へ均一に充填する「材欠」の難しさ
もう一つ、大型ゴム製品で注意しなければならないのが「材欠」です。
材欠とは、金型の必要な部分までゴム材料が十分に行き渡らず、製品の一部が欠けた状態で成形されてしまう不良です。
ゴムは、材質によって流れ方などの性質も異なります。特に大型品では、広い金型の隅々までゴム材料を均一に充填させる必要があるため、製品が大きくなるほど難易度が高くなります。
ここで重要になるのが、ゴム材料の仕込み方です。単純に必要重量のゴム材料を金型へ入れれば、自然に全体へ均一に広がってくれるわけではありません。
製品形状や肉厚、使用するゴム材料の性質などを見ながら、「どこに、どの程度の量を、どのような状態で仕込むのか」を調整し、広い面積へゴムを行き渡らせていきます。
この材料の仕込み方は、大型ゴム製品を安定して量産するうえで、成形メーカーの経験やノウハウが特に現れる部分です。
大型品は「1回の失敗」のロスも大きい
大型ゴム製品では、一回の成形に使用する材料量が多く、加硫時間も長くなる傾向があります。
そのため、一度不良が発生すると、材料だけでなく成形にかけた時間も大きなロスになります。
ガス傷や材欠だけではなく、製品の肉厚に応じた加硫時間の調整や、製品全体のバリ仕上げの均一化なども考えなければなりません。
試作段階で一度良品を作るだけではなく、量産に入ったときに、不良や手直しによるロスをいかに減らせるか。
ここまで考えて成形条件を安定させることが、大型ゴム製品を量産するうえで重要です。
【製作事例】2部品だった1m超の大型ゴム製品を一体成形
今回ご相談いただいた製品も、1mを超える大型ゴム製品でした。
従来は、一体で成形できるメーカーが見つからなかったため、成形可能なサイズに合わせて2つの部品に分けて調達されていました。
そこで、
「1mを超える大型ゴム製品を一体で作れないか」
「2つに分けている部品を1つにまとめたい」
というご相談をいただきました。
信栄ゴム工業では、大型プレス設備を使用することを前提に、金型構想、材料選定、量産方法まで検討しました。
その結果、従来2つに分けていた大型ゴム製品を、一体成形によって1部品化することができました。
大型ゴム製品を一体化するメリットは、単に部品点数が一つ減ることだけではありません。
調達側では、2つの部品をそれぞれ発注・在庫管理する必要がなくなるため、調達管理の手間を減らすことができます。輸送する部品点数も減るため、運賃の低減にもつながります。
さらに製造面では、2部品をそれぞれ成形する場合と比べて成形回数を減らせるため、製品単価の低減にもつながります。
一方で、大型化すれば金型も大きくなるため、初期の金型費は高くなります。
そのため、一体化を検討する際には金型費だけを見るのではなく、金型費+製品単価+生産数量+運賃+調達管理まで含めたトータルコストで比較することが重要です。
今回の事例でも、金型費は高くなりましたが、その後の量産によるコスト低減によって十分に回収することができました。
大型ゴム製品は何個から作れる?
「大型ゴム製品を作りたいけれど、数量が少ない」というご相談もあります。
大型ゴム製品だからといって、何百個、何千個という数量が必要なわけではありません。
信栄ゴム工業では、案件によっては10個程度から大型ゴム製品を生産しています。ただし、大型金型をプレスへ載せて段取りする以上、製造効率を考えると、一度金型を載せたらある程度まとまった数量を成形した方が効率的です。
一つの目安として、1回の生産で30個程度以上あると生産効率を上げやすくなります。もちろん、10個程度しか必要ないから対応できないというわけではありません。
反対に数量が多い場合には、金型を増やすなど、生産量に合わせた方法も検討できます。
必要数量、年間数量、希望納期などを確認しながら、その製品に適した生産方法を一緒に考えます。
NR,SBR,NBR,EPDM,FKM(フッ素ゴム)などのゴム材料に対応
大型ゴム製品では、サイズだけでなく使用環境に合わせた材料選定も重要です。
信栄ゴム工業では、工業用ゴム製品で、NR(天然ゴム)/SBR/NBR/EPDM/FKM(フッ素ゴム)などの取り扱い実績があります。
求められる耐油性、耐候性、耐熱性、耐薬品性などによって、適したゴム材料は異なります。
そのため、「作りたいものは決まっているけれど、どのゴム材料を使えばよいのか分からない」という段階でも問題ありません。
製品の用途や使用環境、求める機能などを確認しながら、材料を検討します。
大型ゴム製品は「サイズ」だけでは判断できない
大型ゴム製品について、「何mmまで作れますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。
もちろん製品寸法は重要です。
しかし、縦×横の寸法だけで成形できるかどうかが決まるわけではありません。
製品形状、肉厚、材質、金型構造、必要数量などによって、適した製造方法や成形条件は変わります。
そのため信栄ゴム工業では、単純に「1200mmだからできる」「1400mmだからできない」と判断するのではなく、製品の用途や形状、使用条件などを確認したうえで製造方法を検討しています。
そして、その段階で図面が完成している必要はありません。
両手サイズから1メートル超まで。大型ゴム製品は構想段階からご相談ください
信栄ゴム工業では、両手で持つ程度のサイズから1mを超える大型ゴム製品まで、金型構想、材料選定、試作から量産まで一貫して対応しています。
たとえば、
「こんな形の大型ゴム製品を作りたい」
「今は2部品に分かれているけれど、一体化できないか」
「1mを超えるサイズになるが、そもそも金型成形できるのか」
「材質がまだ決まっていない」
「他社にサイズを理由に断られた」
「現在使用している大型ゴム製品の金型を移管したい」
といったご相談にも対応しています。
既存金型を使用した生産移管・金型移管についてもご相談いただけます。
そして、完成した図面がなくても構いません。
製品の用途や使用環境、必要な機能、おおよそのサイズ、必要数量など、現時点で分かっている情報をお聞きしながら、材料、金型、成形方法を一緒に検討します。「このサイズ、本当にゴムで作れる?」という段階からご相談ください。図面がなくても大丈夫です。
構想段階のアイデア、現在使用している製品の見直し、他社で断られた大型品なども含め、まずは現在のお困りごとをお聞かせください。