2026.07.22
小さい製品は得意ではありません。でも、あなたの「わからない」に応えるのは得意です。
「液漏れを防止するためのゴムキャップを作りたい。」
今回ご紹介するのは、そんな一つのご相談から始まった開発事例です。
ゴム製品の開発では、材料選定や試作方法、量産を見据えた形状設計など、図面だけでは解決できない課題が数多くあります。
特に新規開発では、
「何を選べばいいのか」
「この形状で量産できるのか」
といった疑問が次々と出てきます。
実は、このタイトルは少し矛盾しています。
信栄ゴム工業は、大型ゴム製品や開発案件を得意としており、今回のような小さなゴム製品は決して得意分野ではありません。
それでも、この開発案件をお引き受けしました。
理由は、「小さい製品もできます」という話ではありません。
お客様は、材料も決まっていない。試作方法も決まっていない。量産しやすい形状も決まっていない。
つまり、「どう進めればよいかわからない」という状態でした。
だからこそ、私たちはこの案件で価値を発揮できると考えました。
今回は、試作品の製作から量産性の検討、協力会社との連携、そして金型製作まで、お客様と一緒に製品化を進めた開発事例をご紹介します。
目次
「まずは、形になるかを確かめたい。」
今回いただいたご相談は、「液漏れを防止するためのゴムキャップを開発したい」というものでした。
製品の構想はあるものの、お客様はゴム製品の開発が専門ではありません。
「どの材料を選べばよいのか。」
「この形状で本当に量産できるのか。」
「金型はいつ作ればよいのか。」
製品化を進めるにあたり、さまざまな疑問や不安を抱えられていました。
そこで私たちは、まず「どんなゴムを使うか」ではなく、「どのような環境で使用する製品なのか」を詳しくお聞きしました。
使用温度はどれくらいか。
油や薬品に触れることはあるのか。
どの程度の密封性が求められるのか。
実際の使用環境や求められる性能を一つひとつ整理しながら、お客様に適したゴム材料をご提案しました。
しかし、材料が決まればすぐに金型製作、というわけではありません。新規開発では、いきなり金型を製作することは大きなリスクになります。
実際に組み付けられるのか。
求める性能を満たせるのか。
形状に見直しが必要になる可能性はないか。
金型製作後に設計変更が発生すると、時間もコストも大きく増えてしまいます。
そのため今回は、切削加工と貼り合わせによる試作品をご提案しました。量産と同じ製法ではありませんが、形状や組み付け性を確認するには十分な方法です。
まずは試作品で評価を行い、その結果を踏まえて量産化へ進める。
遠回りに見えるかもしれませんが、新規開発では、この進め方が結果的に時間とコストの両方を抑えることにつながります。
材料の選定、試作方法の検討、そして量産を見据えた形状の確認。開発初期だからこそ生まれる一つひとつの「わからない」を整理しながら、お客様と一緒に製品化への道筋を組み立てていきました。
ゴム製品と言われて思い浮かぶものは、タイヤや輪ゴム、スーパーボールなどで、普段の生活の中でゴム製品単体に触れることは少ないと思います。一方で、ゴム製品は車や機械、扉、道路など生活のあらゆるところに使われています。防音や防振、シール性、反発性などゴム独自の物性により陰ながら世の中を支えているのがゴム製
構想から試作・量産まで、ゴム製品の開発の流れを徹底解説|失敗しないためのポイント
いきなり金型は作りません。
ゴム材料の方向性が決まった後、次に検討したのが試作品の製作方法です。
今回のような新規開発では、形状や寸法が本当に適切なのか、実際に組み付けてみなければ分からないことが少なくありません。
もし、この段階で金型を製作してしまい、評価後に設計変更が必要になれば、金型の修正や作り直しによって時間もコストも大きく増えてしまいます。
そこで今回は、切削加工と貼り合わせによる試作品をご提案しました。
量産品と同じ製法ではありませんが、形状や組み付け性、基本的な機能を確認するには十分な方法です。また、短期間で製作できるため、評価結果を踏まえた設計変更にも柔軟に対応できます。
試作品を製作した後、お客様に実際の使用環境で評価していただきました。
その結果、求められる機能を満たせることを確認でき、量産化に向けてプロジェクトを進めることになりました。
開発案件では、最初から完成した図面や仕様が揃っているとは限りません。
「こんな製品を作りたい。」
「こんな課題を解決したい。」
そんな構想やアイデアから開発が始まるケースも数多くあります。
だからこそ私たちは、図面の有無ではなく、お客様が実現したいことを大切にしています。
使用環境や求められる性能を整理し、最適な材料をご提案する。試作品で形状や機能を確認しながら、製品化への道筋を一緒に考えていく。 「この形でいけそうだ。」
図面はまとまった。材料もある程度絞れた。機能も頭の中では成立している。
次に出てくるのが、この問いです。
「で、どうやって作る?」
押出か。コンプレッションか。インジェクションか。それとも切削や打ち抜きか。
この判断は、単なる製造方法の選択ではありません。
開発とは、完成した図面を形にすることだけではありません。まだ形になっていないアイデアを、一つひとつ具体化していくことも、私たちの大切な仕事だと考えています。
ゴム製品の成形方法は”開発段階”で決めよう ― 試作から量産まで失敗しない選び方 ―
試作品ができても、量産できるとは限りません。
試作品による評価を終え、求められる機能を満たせることが確認できたため、プロジェクトはいよいよ量産化に向けた次のステップへ進みました。
しかし、ここで新たな課題が見えてきます。
今回の製品は小型で複雑な形状をしており、試作品は問題なく製作できても、量産では安定した品質と生産性を両立させなければなりません。
量産品は、一つ作れれば良いわけではありません。何千個、何万個と製造しても品質にばらつきがなく、安定して生産できることが求められます。
そのためには、製品形状だけでなく、金型の構造やパーティングライン(PL)の位置、ゴムが金型内をどのように流れるか、製品をスムーズに取り出せるかなど、量産を前提とした設計が欠かせません。
こうした点を十分に検討せずに金型を製作すると、寸法が安定しない、離型性が悪い、作業効率が上がらないなど、量産が始まってからさまざまな課題が発生する可能性があります。
信栄ゴム工業は、大型ゴム製品や新規開発案件を数多く手掛けてきました。
一方で、今回のような小型ゴム製品の量産は、私たちが最も得意とする領域ではありません。同じゴム製品でも、大型製品と小型製品では、量産時に求められる技術や設計の考え方は大きく異なります。
大型製品では、ゴムを均一に充填するための流れ方や加硫条件、製品の変形を抑える金型構造が重要になります。一方、小型製品では、わずかなパーティングライン(PL)の位置や寸法の違いが、成形性や品質、生産性を大きく左右します。
つまり、「ゴム製品だから同じ技術で作れる」というものではありません。
製品の大きさや形状が変われば、求められる技術も変わります。
だからこそ私たちは、自社だけで完結させることにこだわるのではなく、お客様にとって最適な量産方法は何かという視点で、次の一手を考えることにしました。
得意な会社と組むことも、ものづくりです。
量産化に向けた課題を整理した結果、私たちは小型ゴム製品を得意とする協力会社と一緒に開発を進めることにしました。
長年にわたり小型製品を手掛けてきた経験を持つ協力会社と、量産を前提とした形状やパーティングライン(PL)の位置、金型構造について何度も打ち合わせを重ねました。
「この形状なら、もっと安定して成形できる。」
「PLの位置を少し変えた方が、品質も作業性も良くなる。」
それぞれが持つ知識や経験を持ち寄り、一つひとつ課題を整理しながら、お客様にとって最適な量産方法を検討していきました。
ここで大切なのは、単に協力会社へ製造を依頼しているわけではないということです。
私たちは、協力会社の技術を理解し、お客様が求める性能や品質と照らし合わせながら、「どのような形状が最適か」「どのような金型構造にすべきか」を一緒に考え、開発全体の方向性を組み立てています。
これができるのは、ゴムという素材の特性や難しさを理解しているからです。
ゴム製品は、使用環境によって最適な材料が変わり、形状が変われば金型設計の考え方も変わります。さらに、製品の大きさや用途によって、得意とする成形方法や設備も異なります。だからこそ、「この会社なら何でも作れる」という考え方ではなく、「この製品には、どの技術をどう組み合わせることが最適なのか」を見極めることが重要です。
私たちは、ゴムに関わるさまざまな技術やノウハウを理解しているからこそ、お客様と協力会社、それぞれの強みをつなぎ合わせながら、最適な製品化への道筋を描くことができます。
つまり、製品を右から左へ手配するのではなく、ゴムという素材を熟知した立場から開発全体をプロデュースすることが、私たちの役割です。
そして、お客様にも検討内容をご確認いただき、量産形状が決定。現在は金型が完成し、量産に向けた最終確認を進めています。
金型完成。いよいよ量産へ。
協力会社との検討を重ね、お客様にも量産形状をご確認いただいた結果、最終的な製品仕様が決定しました。その内容をもとに金型を製作し、現在は量産開始に向けた最終確認を進めています。
今回の開発では、材料選定から試作品の製作、量産性を考慮した形状検討、金型設計まで、一つひとつ課題を整理しながら進めてきました。
完成した金型は、その積み重ねの結果です。
開発案件では、「金型を作ること」がゴールではありません。
お客様が安心して量産を開始し、その後も安定した品質で製品を使い続けられることが、本当のゴールだと私たちは考えています。 ゴム製品の調達は、「価格」や「納期」だけで判断できるものではありません。
なぜならゴム部品は、図面や仕様だけでは成立しないケースが多く、サプライヤーの技術力や対応力によって、品質・寿命・量産安定性が大きく左右されるからです。
実際の現場では、同じ図面、同じ材料名、同じ用途であっても、
量産が始まってからも、お客様とともにより良い製品づくりを続けていきます。
【チェックリスト付き】ゴムサプライヤーはどう選ぶべきかー長期的に任せられる会社の見極めポイントー
まとめ|図面がなくても、開発は始められます
今回ご紹介した開発事例では、「液漏れを防止するためのゴムキャップを作りたい」というご相談からスタートしました。
その時点では、使用する材料も、試作方法も、量産形状も決まっていませんでした。あったのは、「こんな製品を実現したい」という構想だけです。
私たちは、その構想をもとに使用環境を整理し、最適なゴム材料をご提案しました。そして、切削による試作品で形状や機能を確認し、量産を見据えた設計へと進めていきました。
量産化の段階では、自社だけで完結させることにこだわらず、小型ゴム製品を得意とする協力会社と連携し、パーティングライン(PL)の位置や金型構造まで一緒に検討しました。
このように、一つひとつの課題を整理しながら製品化への道筋をつくることが、私たちの仕事です。
ゴム製品の開発は、材料を選んで図面通りに作れば完成するものではありません。使用環境によって求められる性能は変わり、ゴムの配合によって特性は大きく変わります。さらに、製品の大きさや形状によって、最適な金型構造や成形方法も変わります。
だからこそ、「どの材料を使うか」「どの工法で作るか」を個別に考えるのではなく、それらを一つの開発として組み立てることが重要です。
私たちは、ゴムという素材の特性や製造技術を理解しているからこそ、自社の技術だけでなく、協力会社が持つ技術も含めて最適な組み合わせをご提案できます。
製造を手配することが目的ではありません。
お客様が実現したい製品に対して、どの技術を、どの順番で、どのように組み合わせれば最も良い結果につながるのか。その道筋を設計し、プロジェクト全体を前へ進めることが、私たちの役割だと考えています。
そのため、信栄ゴム工業には、次のようなご相談を多くいただきます。
- ゴム製品を開発したいが、何から始めればよいか分からない
- 図面はまだないが、製品のアイデアを形にしたい
- 使用環境に合うゴム材料を提案してほしい
- 試作から量産まで一貫して相談したい
- 現在の設計や製造方法が本当に最適なのか見直したい
- 自社だけでは解決できない技術課題を一緒に考えてほしい
開発案件では、最初からすべてが決まっていることの方が少ないものです。だから、「図面がないから相談できない」「仕様が固まっていないから、まだ早い」と思う必要はありません。
むしろ、構想の段階だからこそ、材料や形状、製造方法を一緒に考えることで、後戻りの少ない開発につながることも多くあります。
もし、
「こんな製品は作れるだろうか。」
「この使用環境なら、どんなゴムが適しているだろうか。」
「量産まで見据えて相談できる会社を探している。」
そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、信栄ゴム工業へご相談ください。
完成した図面を形にするだけではなく、まだ形になっていないアイデアを、お客様と一緒に製品へ育てていく。
それが、私たち信栄ゴム工業のものづくりです。